miki by yamasa

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みきと人々 People with Miki

  • インタビュー#01 IMALUさん(タレント)
  • インタビュー#02 花田謙一郎さん(花田のミキ代表)
  • インタビュー#03 窪田 圭喜さん  (会長)
  • みきにまつわる奄美のアレコレ 聞いてきました

みきを守り、みきを作る人 花田のミキ代表 窪田 圭喜さん

#02 Interview

山と海から稲霊を招き、五穀豊穣に感謝を捧げ、豊作祈願する祭り「秋名アラセツ」。国の重要無形民俗文化財であり、数百年にわたって受け継がれてきたこの伝統文化を未来へ紡ぐため、地域の人々の努力は今も続いています。その中心人物、窪田さんにお話を伺ってきました。

秋名アラセツ行事保存会の発展と活動

秋名アラセツ行事保存会は、昭和35年に復活し、それ以来、地域の文化と伝統を守り続けています。この復活は、現会長である窪田圭喜さんの父親によって実現され、現在、窪田さんが7代目の会長を務めています。今回は、現会長である窪田圭喜さんにお話を聞くことができました。窪田圭喜さんは、83歳になった今でもとっても元気で、お茶目な笑顔を浮かべながら、我々にいろいろな話を聞かせてくれました。「爺さんたちがうるさく言わないと昔の歌がなくなっちゃうんだよ。たとえば『雨』って言葉も、方言では『あむ』と言うんだよ。言葉が違うと島唄じゃなくなっちゃうよ」と話してくれました。

ご自宅にお邪魔して、お話を聞かせていただきました。

秋名アラセツ行事保存会の活動

保存会には、秋名と幾里の集落から約50人のメンバーが集まり、日々活動を行っています。近年では、若手メンバーの参加が増えており、組織の活性化が図られています。
新しい世代の力が加わることで、保存会はますます活気を帯び、活動の幅を広げています。 具体的な活動として、保存会ではメンバーが協力して八月踊りの練習を行ったり、島唄を歌ったりしています。特に本番前には、集中的に練習を行うことで、伝統の技術を次の世代に伝えています。
このような取り組みを通じて、若手の参加は伝統の技術継承に貢献するだけでなく、地域の結束力を強化する重要な役割も果たしているのだな、と感じました。

会長自らが振る舞う猪鍋は絶品でした。

秋名アラセツ行事と『結(ゆい)の精神』

奄美大島の伝統行事である秋名アラセツは、地域の人々が一丸となって受け継いできた重要な文化です。秋名アラセツ行事保存会の会長である窪田圭喜さんは、『結(ゆい)の精神があるおかげで、地域の文化は途絶えることなく継承し続けられている』と語ってくれました。
若い世代から大人に至るまで、例えばショチョガマの縄の結び方を指導し、自然に若者たちが動き出しています。彼らは木や稲を束ねる際の異なる結び方を学び、この行事を通じてこうしたことを習得できるのは素晴らしいことだと窪田さんは話します。
“結(ゆい)の精神”とは、地域社会が互いに協力し助け合う精神を指します。

秋名の八月踊り。チヂンの音が心に響きます。
みなさん、この日一番の笑顔でした。

この精神に支えられ、若い世代から年配の世代までが手を取り合い、文化や伝統を次世代に引き継ぐ努力を続けています。 昔からの伝統を大切にしつつも、新しい世代がその知恵と技を学び、受け継いでいく過程がこの精神によって支えられているのです。
私たちはアラセツ行事を通じて、この精神が具体化されている様子を肌で感じることができました。「神事」や「八月踊り」、「島唄」を通じて、ショチョガマを作る心意気や秋名集落の文化が継承されていることを実感し、皆が協力して伝統を守り続ける姿には、心を打たれ、深い感動を覚えました。
このような素晴らしい機会をいただき、ご協力いただいたみなさまにはこの場を借りて感謝申し上げます。

平瀬マンカイの舞台、神平瀬を前に。

呼び名文化が表す、人々の絆

奄美大島では、名前に「さん」を付けるだけでなく、親しい人には 「おば」「おじ」「あに」「あね」といった呼び名を付けるんです。これが、人々の関係の親しさをより深めているのだと思います。
窪田圭喜会長を、我々が親しみを込めて「圭喜おじ」とお呼びしたところ、彼はすぐに笑顔で「圭喜兄(にい)だろ」と笑って返してくれました。このやり取りからも、圭喜兄のやさしさとあたたかさが感じられましたし、こういうところが、島の人々の心地の良い繋がりを築いているんだな、と感じました。

海の様子を見にいくというので、ついていきました。

最後に、みきへの想いをお聞きしました

「みき」と言えば、やっぱり相撲を取っている姿が浮かんでくるね。 一升瓶にたっぷり入った「みき」と、重箱に盛られたご馳走を担いで、土俵入りをして相撲を取るんだよ。そこには、婦人会が作ったおにぎりが力飯としてちゃんと用意されてたんだけど、「勝とう!勝とう!」って気持ちが高ぶっちゃってね、ご飯なんか喉を通らないよ。でも、「みき」だけはがぶがぶ飲めるし、力も湧いてくるんだよね。スタミナドリンクだよね。食欲がない時でも「みき」を飲むと元気になるんだ。それに「みき」は神事にも関わっていて、ショチョガマでは、赤飯の上に「みき」をかけて、神様にお供えするんだから。こういった文化的な側面も、「みき」の魅力の一つだと思うよ。

私たちのみきも飲んでくださいました。

※ 記事の情報は2024年9月9日時点のものです。この記事の執筆にあたり、貴重なお時間をいただきました窪田様が25年1月にご逝去されたことを心よりお悔やみ申し上げます。窪田様の温かいお人柄と素晴らしい業績は、私たちの心に深く刻まれています。ご冥福をお祈り申し上げます

みきにまつわる奄美のアレコレ 聞いてきました!みきにまつわる奄美のアレコレ 聞いてきました!

みきに限らず、奄美にはとてもすばらしい文化が息づいています。今回の旅でお聞きできた、シマならではの素敵なお話を少しづつではありますが、ご紹介しております!