【匠の皿 vol.36】「たけのこのコンフィ」三浦 真央子氏

 
「たけのこのコンフィ」には、とうもろこしのソースとアラ醤油パウダーを添えます。この2つには、「ヤマサ重ね仕込しょうゆ 本懐石」や「ヤマサうすくちしょうゆ」をベースにした自家製調味をもとに発想しました。自家製調味料は、旬の味覚を活かしてその美味しさを保存するだけでなく、料理の発想の「種」にもなるもの。手軽にうまみや深みを加えることができるので、日頃から用意しておけば料理の時短に役立ちます。
 
まずは、とうもろこしのソース作りから。芯から外したとうもろこしの粒に軽く塩を振り、バターと共に鍋に入れます。ふたをして弱火にかけ、焦げないように時々かき混ぜながら加熱。とうもろこしに火が通ったら、あらかじめフライパンなどで煎っておいた胡桃と「ヤマサ重ね仕込しょうゆ 本懐石」、自家製調味料であるコーヒー醤油と合わせてミキサーにかけ、ざるで濾して滑らかな口当たりに仕上げます。
 

 
コーヒー醤油とは、ひいた深煎りのコーヒー豆と「ヤマサ重ね仕込しょうゆ 本懐石」を小瓶に入れ、一晩ほど寝かせたもの。カラメルのような香ばしさがあり、「ヤマサ重ね仕込しょうゆ 本懐石」と一緒に使うことで、ソースの風味にさらなる奥深さが生まれます。コーヒー醤油は、プリンやケーキのような卵を使ったスイーツとも相性がいいので、ぜひ試してみてください。
 

 
次に、うまみの強いアラ醤油パウダーを作ります。自家製調味料のアラ醤油と醤油麹、アラ醤油に使ったアラをミキサーにかけます。もし滑らかになりにくいようなら、少し水を足しましょう。ミキサーから出して天板に広げ、オーブンでカラカラになるまで乾燥焼きにし、粗熱を取ってから再度ミキサーにかけてパウダー状にします。
 

 
ここで使うアラ醤油とは、魚のアラを「ヤマサうすくちしょうゆ」に漬け込んだもの。「ヤマサうすくちしょうゆ」が魚のうまみを引き出して、スープやめんつゆにも活用できるほど味わい深い仕上がりになります。今回はアジの中骨を焦げる寸前まで焼いて使いました。漬け込む時間は2日ほどが目安。魚の脂が浮いてくるので、冷やして一度濾してから保存したり使ったりするとよいでしょう。
 
また、醤油麹は、麦麹と「ヤマサ重ね仕込しょうゆ 本懐石」を1:2の重量比で合わせて熟成させたもので、夏であれば室温で約1週間、それ以外の季節であれば温かな場所で混ぜながら、1カ月程度寝かせれば完成です。固形醤油のようなイメージで、炒め物やほうれん草のお浸しなどを作る時にも重宝します。
 

 
たけのこのコンフィには、真竹を使います。フライパンで米油を80℃まで熱し、真竹をじっくりと焦げ目がつくように焼き上げ、とうもろこしのソースとアラ醤油パウダーと一緒にお皿に盛りつけ、彩りに木の芽をあしらいます。
 

 
今回は、醤油をベースにした自家製調味料を使いましたが、本当なら、醤油はアレンジせずに使うのが一番美味しくて贅沢。特に、追い麹製法による「ヤマサ重ね仕込しょうゆ 本懐石」の完成された味わいは、そのままいただくべきものだと感じています。正直、今回のメニュー開発では、こんなに醤油に手を加えてよいのだろうかとも悩みました。しかし、料理にかける時間やマンパワーが限られる中で、自分らしさを味で表現するためのベースとして、醤油ほどありがたい存在はありません。日々の食事に今以上に醤油が取り入れられていくような、そんな料理を開発し発信していきたい。そのために、今後も醤油の伝統や美味しさをしっかりと学び、自分自身の力をもっと蓄えていかなければと思っています。
 

 
「筍のコンフィ アラ醤油パウダーととうもろこしのソース」のレシピはこちら